話がやや脱線しましたが、「上野学園の将来を考える会」が問題提起し、それを機に起こった騒動に対して、前理事長は4月21日に釈明のための説明会を行いました。そこで前理事長は、自身の給与を明らかにしましたが、その言い分としては私学経営研究会や私大協会資料を参考に同規模の私立学校の理事長の給与を目安として決めているとのこと。

しかし、上野学園は長年に渡り、少なくない金額の赤字経営であるという視点が抜け落ちています。それと同時に、文科省が定めた一定の水準よりも高額の報酬によって、本来学園が受け取れる補助金が削減され、それによる学園の損失は億の単位となっています。

また、元理事長であり学園長でもある石橋裕氏は、ある時期、中高の校長を兼務していましたが、何年間にもわたって一度も学校へ姿を現すことなく毎年3000万円近くの報酬を取っていました。

それに対しては、「自宅で勤務していた」と小学生の言い訳のような回答でした。そして、経営悪化の諸悪の根源の大きな要素である石橋家の経営による株式会社和を、学園の下請けとすることでの迂回所得には、「今後は見直します」との発言でした。

つまりこのように過去の悪事は棚に上げて開き直り、しかし何の責任も取らず、そして将来は相変わらず不透明なままという印象をそこに参加した人に与えただけでした。そのことは、理事長説明会直後に出された上野学園関係者300人にも及ぶ理事長退任要求書と「新しい上野学園を作る会」への支持と賛同の記名文書によっても明確になっています。

*    *    *

この説明会を境に「上野学園の将来を考える会」は、「新しい上野学園を作る会」として生まれ変わりました。村上学部長を始め、大学の全ての主任教員が主体となり、旧体制とはきっぱりと決別し、クリーンで健全、かつしっかりとしたビジョンを持つ新生上野学園としていち早くスタートを切るために活動しています。

もはや将来を「考えている」だけでは何も始まらず、直接、新生上野学園を「作る」ということです。前理事長はその生まれたばかりの「新しい上野学園を作る会」の第一号会員になると説明会の席で明言し、学長は第二号会員になると発言しました。

しかし、それから何日も経ってないある日、「これ以上理事長と直接コンタクトを取るな、何か言いたいことがあるなら全て弁護士を通して言え」との通達がありました。彼らとのそのスタンスは、現在においても何ら変わっていません。ちなみに学園の弁護士には何を質問しても無回答です。

理事長は代々石橋家の人達が務め、それは彼らが学園の創立者であるからということによってですが、この活動の中で石橋家が学園を作ったわけではないということも明らかになりました。

「ならば、何故石橋家が?」、彼らが学園の創立者であろうとなかろうと多くの人にとってはどうでもいいことかもしれません。いずれにしても、100年以上も前の話です。実質的にきちんと学園が運営されていれば、その経営者は出自に関わらず尊敬されて然るべきでしょう。

しかし現状の上野学園では、自称創立者一族が自分達だけは当たり前のようにそして他の誰にもわからないように取り分を確保し、その残りをみんなで分け合うのですから皺寄せは当然教育の質にも影響を及ぼし、授業のカットなどが当たり前のように行われたり、教育上必要な楽器の買い替えや修理、施設設備の補修・拡充も出来ない状況となっているわけです。

また、6月には新たな理事会の布陣が発表され、騒動の渦中にあった理事長は理事に、そして理事であった夫人が理事長にという茶番が行われました。旧理事は全員まるで口封じか、逃げ出すように居なくなり、一族のお友達が新理事として就任しました。

そして、我々教員の信用と信頼をとっくに失っている学長も理事となりました。教学と経営を繋ぐ役割を担うとのことですが、学長には理事会や今後の経営について質問しても、全く知らぬ存ぜぬです。

*    *    *

さすがに事態を重く見た文科省から8月に第三者委員会の設置要請が出され、「新しい上野学園を作る会」としても持っている資料の提出や、現在の学園内の状況の報告など第三者委員会には最大限の協力をしてきました。

学園の現体制側も、調査報告書が提出されたら速やかに発表すると10月にホームページで公にし、我々としても待っていたわけですが、12月の初旬にすでに提出されているにも関わらず、しばらくは何の音沙汰もありませんでした。

そして世の中の仕事納めに合わせるようにメッセージが発表されたと思えば、それは要約すると、「調査報告書は公表しない、調査報告書を踏まえて経営改善を考えている」ということでした。

もはや経営改善を述べるような立場にはないということが彼らはいまだにわかっていないようです。過去の清算も行わず、都合の悪いことはひたすら隠し、その先のビジョンも何もないにも関わらず尚もその立場に居座ることに執着する……、なんというあさましさ。

誰の目にも明らかな赤字経営の上野学園の再建は急務です。しかしこれ以上、石橋家とその取り巻きに学園を占拠されてしまっていると、どんな真っ当な運営をしようとしても手遅れになってしまいます。石橋家に関しては、調査報告書を公表しない、つまり出来ないということでその内容はおおよそ予想がつきます。誰でも都合の悪いものは隠し、自慢話は広めたいものです。

なので、万が一にも彼らが今後まだ居座るなどということにはならないでしょう。何かの手違いで彼らが残ったとしたら……、それに抗議の意を示すために辞職する教員も多く出てくるでしょう。

現経営陣が教員一人一人をどのくらい大切に考えているかはわかりませんが、辞めた教員の穴は次の人を雇うということでは決して解決出来ません。音楽の世界では、先生と生徒の関係は入学のはるか以前から深く結び付いていることがほとんどでしょう。そう簡単に代役は務まらないものです。

次のページへ

ホームへ戻る

inserted by FC2 system